臨床経験ゼロから在宅リハビリの世界へ飛び込んだ理学療法士の挑戦
TikTokで偶然見かけた認知症のおばあちゃんの日常動画。それが、武内さんの人生を大きく変える出会いのきっかけでした。
臨床経験がほとんどない状態で、デイサービスから訪問リハビリの世界へ——。不安を抱えながらも「新しいことへのチャレンジが嫌いではない」という性格を武器に、firstの扉を叩きました。
今、彼が大切にしているのは「信頼関係」という言葉です。利用者さんの家という最もプライベートな空間で、どうやって心を開いてもらうのか。その答えは、彼自身が乗り越えてきた数々の葛藤の中にありました。
運命的な出会い——一本の動画から始まった物語

——firstへの入職を決めた一番の決め手は何だったのでしょうか?
すべてはTikTokから始まりました。
デイサービスで働いていたある日、1本の動画が目に飛び込んできました。「認知症のおばあちゃんの日常」を切り取った、何気ない日常の風景。それが職場のスタッフの間で話題になっていたんです。
投稿者は、first看護師の中西さん。そこからInstagramへ飛んで知ったのは、彼が訪問看護の仕事をしているということでした。
「デイサービスが終わった後、利用者さんは家でどんな生活を送っているんだろう」
そんな素朴な疑問が湧いてきて、訪問看護について調べ始めました。調べれば調べるほど興味が深まり、そしてたどり着いたのがfirstでした。
入職してから分かったのですが、あのTikTokに映っていたのは中西さんの身内のおばあちゃんで、firstの利用者さんだったんです。あの動画が、僕とfirstを繋いでくれた運命の1本でした。
ゼロからの挑戦——不安を力に変えた1ヶ月
——入職前に不安だったことはありましたか?
臨床経験がほとんどなかったので、最初は不安でいっぱいでした。デイサービスでの経験はありましたが、在宅というまったく異なるフィールドで、多様な疾患を持つ利用者さんに対応できるのかという不安です。
それでも、新しいことにチャレンジするのが嫌いではないので、とりあえずやってみようと思いました。
入職後も、最初は上司が同行でしっかりついてきてくれて、サポートが本当に手厚かったんです。それが自分の自信というか、不安材料を取り除く一つになりました。
——今振り返って、当時の自分にアドバイスするとしたら?
わからないことがあったときに、もっと自分から聞けばよかったなと思います。わからないことだらけだったので、「いちいち聞いていいのかな……」と躊躇していたんですよね。
でも、先輩たちが「一緒に考えてみようか」という姿勢だったこともあり、その躊躇を払拭してくれました。
連携という名の日常——壁のないコミュニケーション
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——入職して「firstってこういう会社だな」と感じた出来事は?
訪問看護はリハビリと看護が共同して行っていく仕事だと思うので、連携が取りやすいところがfirstの魅力だと思います。
たとえば、薬が飲めていない利用者さんがいて、どう対応したら良いかわからない。そんなとき、すぐに看護師に相談できる環境がありました。
事務所ではリハビリと看護師で部屋が分かれてないので、「実はこういうことがあった」と改まって言うのではなく、一緒の空間にいる中で気軽に話し合える。これはすごく良いことだなと思います。
——連携のために、定期的に会議をしたり何かツールを使ったりしているんですか?
日常的に「この利用者さん、今状態こうだよね」みたいな話をしています。何かツールを使うわけではなく、普通の会話をしている中で利用者さんの話になるっていうのがすごく良いことだと思っています。
定例会議のような堅苦しい場ではなく、休憩時間やちょっとしたときに。そうやって利用者さんの話が自然と会話の中に溶け込んでいくのが、firstの連携やコミュニケーションの形です。
——代表と副代表はどんな存在ですか?
代表はずっと仕事をしているイメージがありますね。仕事熱心というか、看護が好きで情熱が伝わってきますし、素晴らしいと思っています。
病院や居宅から新規依頼をいただくんですけど、「とりあえず取りましょう」という体制が本当にすごいなと思っていて。「この人は疾患的に重そうだからやめとくか」じゃなくて、「受け入れますよ」っていうのはなかなかできないですよね。退院前の家屋調査にも、積極的に参加されています。
副代表の辻さんは「縁の下の力持ち」という表現がぴったりです。代表が辻さんのこと大好きなんですよ。利用者さんから信頼されてるという話もよく聞きます。
あと、お二人は全然違うタイプなので、たとえば「こういう話は代表にしてみよう」とか、「こういう利用者さんの話は辻さんにしてみよう」みたいな感じになりますね。違うタイプのほうが、支え合いという観点ではすごく良い影響を与えているのかなと思います。
信頼を築く——利用者さんとの向き合い方
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——印象に残っている利用者さんとのエピソードを教えてください。
最初はなかなか心を開いてくれない利用者さんがいたんですが、コミュニケーションを重ねていく中で、少しずつ変化が生まれました。
とりあえず会話をして、本人が何を望んでいるのか、どこが痛いのかといったことをまず聞き出して。ご家族の負担や、どこが良くなったら過ごしやすいのかといったことも聞いて、そこを目標にリハビリしていきました。
段階や目標を決めて、「1ヶ月間でこれができましたね、じゃあ次はこうしていきましょう」という会話の中から、できていることを伸ばしていく。良くなっているのが目に見えてくるので、そういうところから信頼関係ができてくると感じた出来事でした。
——ここでなら成長できると実感したのはどんなときでしたか?
臨床経験がほぼないので、初めて見る疾患もありました。癌の方も見たことがなかったんです。知識はやっぱり自分で勉強するしかないですが、気軽に相談できるので、そういった点で自分の成長につながると思います。
訪問から帰ってくると先輩たちがカルテを見てくれて、気になったことがあれば「ここどうなってるの?どういうリハビリしてるの?」と声をかけてくれます。「リハビリを見に来てほしいです」って言ったら、調整して見に来てくださるんです。
とにかく気にかけてくれるので、すごくありがたいことだと思っています。
働き方の柔軟性——男性初の育休取得

——働き方が柔軟だなと思った瞬間はありましたか?
去年、子どもが生まれました。そのとき、firstの柔軟性を肌で感じる出来事がありました。
もともと男性の育休がなかったんですが、僕が育休を取りたいと言ったときに、代表が育休制度を作ってくれました。1週間の育休でしたが、その1週間があるのとないのとでは全然違った、とてもありがたかったと妻も言っています。
育休中、担当していた利用者さんのリハビリは休みになるのではなく、分担してリハビリに行ってくれました。それがすごく支え合いというか、ありがたいなと感じましたね。
また、そのとき代表にかけられた言葉が印象に残っています。「子どもとの時間は限られているから、そういうときはしっかり奥さんのサポートもしてあげないと」と言われたんです。
デイサービス時代はシフト制で、妻と休みを合わせるのが難しかったんですが、今は土日休みなので合わせやすくなりました。週末に子どもと過ごす時間が、今は何よりも大切です。
理想の未来——5年後の自分のビジョン
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——5年後、専門職としてどんな自分になっていたいですか?
知識とか医療とかもそうなんですけど、やっぱり一番は利用者さんの家に訪問させてもらっているので、まず信頼関係を作ることを大切にしています。「またこの人来たわ」ではなく、「この人が来てくれたから、こういうリハビリをしてもらおうかな」という信頼関係。信頼される存在になっていきたいですね。
そのためには、ケアマネージャーさんにも信頼してもらいたいと思っています。なので、たとえばショートステイに行ってきた帰りにリハビリを行う利用者さんがいるんですが、ショートステイでどのように過ごされていたかといったことをケアマネージャーさんにも伝えたりとか。情報共有を密にしていきたいです。
——新しく身につけたいスキルや資格はありますか?
福祉住環境コーディネーターの資格を取りたいです。在宅でリハビリするにあたって、たとえばトイレに手すりをつけるだけで立ち上がりやすくなるというように、この資格があれば説明もしやすくなると思います。
あと「こういう資格持ってるなら、ちょっと任せてみようかな」と、ケアマネージャーさんからも信頼されるのかなと。退院が決まって、家の環境を見に来てほしいとなったときに、「この人に任せてみようかな」と思ってもらえるようになりたいです。
一本の動画から始まった、信頼を築く日々
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TikTokの一本の動画から始まった武内さんの物語。臨床経験がほとんどない状態で在宅リハビリの世界に飛び込み、不安と向き合いながら、今では「信頼される存在」を目指して日々成長を続けています。
彼が大切にしているのは、利用者さんとの信頼関係。できたことを認め、褒め、伸ばしていく。本人だけでなく、ご家族の負担も考える。そうした姿勢が、少しずつ信頼を築いていきます。
firstは、そんな武内さんの成長を支える環境を提供してきました。手厚い教育体制、気軽に相談できる雰囲気、リハビリと看護の壁のない連携、そして柔軟な働き方。5年後、さらに信頼される存在になるという目標に向かって、日々の訪問で学び続ける武内さんの挑戦は続いています。
——最後に、これから応募を考えている方にメッセージをお願いします。
臨床経験がなくても、不安があっても、一歩を踏み出せば、必ず支えてくれる仲間がいます。「在宅リハビリに興味はあるけれど経験がない」「新しいフィールドに挑戦したいけれど不安がある」そんな気持ちを抱えている方を、firstは歓迎します。
ここには、段階を踏んで学べる教育システムがあり、気軽に相談できる先輩がいて、リハビリと看護が協力し合える環境があります。そして何より、「断らない」という姿勢。どんな疾患の利用者さんでも受け入れ、一緒に考え、一緒に成長していく。
利用者さんとの信頼関係を何より大切にし、ご家族の負担にも寄り添える。そんな温かい心を持った方と、一緒に働きたいと考えています。チームの一員として、一緒に挑戦しませんか?